› ひねりてのお直ししまSHOW › HENRY CUIR(アンリークイール)
・インスタグラム始めました
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・このブログは
広島近郊の方には、お店の詳細を知っていただくために
遠方の方には
身近なものを修理して使用する楽しさをお伝えするために
公開しております。
・右下の方にあるカテゴリの、一番上の記事
「ひねりてからのおことわり」の内容にご了承の上
ご来店ください。
・ブログ内で、過去に修理した作業内容や価格
納期などをご紹介しておりますが
同じ修理内容でも対象商品の状態や仕上げ方などによって
価格や納期は変わります。
あくまで目安として
参考にしていただくために公開しておりますので
予めご了承ください。
・2014年4月より前の記事では
その当時の消費税率5%で価格表示してありますが
実際にはご来店時点での消費税率で
対応させていただくこととなります。
・当店は予約制ではありませんので
営業時間内のご都合の良い時に、修理したい商品と
どんな修理にしたいかという構想を持って
ご来店ください。
場合によってはお客様が集ってしまうこともありますが
その際は、携帯電話をお持ちの方には
店外で他の用事などをしてお待ちいただき
受付の順番になったら、ご連絡させて頂いております。
2012年08月03日
手提げかばんのシミ隠し その3
昨日から引き続き手提げかばんのアレンジについてですが・・・・
大変お待たせしました、仕上がりをご紹介します!
より実用的にするために、
入り口部分にマチをつけて容量を大きくしてあります。
もうちょっといろんな角度から見てみましょう
撮影者がへたくそなために、写真が光ってたりボケてたりしてて、
いろいろ見にくい部分もありますが、お許しくださいね。
ポケット入口はあえて包丁で切りそろえず
革の端をそのまま使用して、ナチュラルな雰囲気の鞄に馴染ませました。
ポケットの留め具の造りは、本体入口の留め具と同じデザインにしました。
本体入口の留め具 ポケットの留め具
もともと飾りとしてアフリカンビーズが5か所についていましたが、
ひねりてでも仕入ルートを見つけることができ、
ご覧のような黄色いアフリカンビーズ(数種類の中からお客様が選択)
を留め具のループに取り付けました。
これでより鞄の雰囲気に馴染むし、個性をプラスできましたよね
手縫いの縫い目はこんな感じです。
この鞄にはオレンジの糸が使用されており、
この糸にどれだけ近いものを仕入れられるかが、
今回のアレンジの仕上がり具合を決めるポイントでした。
いろいろ調べた結果、
アメリカ製のイミテーションシニューを使用することにしました。
この糸、すでに生産停止された限定品だそうです。
遠方の業者から写真とメールのやり取りだけで、
私の限られた想像力をめいいっぱい駆使して仕入れたのですが、
ばっちり予想通りの糸で一安心しました
実際に使われている糸の種類は定かではありませんが、
見た目の雰囲気に合う糸を仕入れられたことが、
今回のアレンジをより質の高いものにしてくれたと思っています。
あの悩ましいシミもこの通り、無事に隠せました
このシミも(赤丸部分)
↓
このように留め具ストラップの付け根の下に隠せました(赤丸部分)
以上のような仕上がりにお客様もご満足いただけたようで、
無事納品できました
ポケット(マチ付)取り付けアレンジ
シミ調査用の送料含む 24150円
納期 約1か月
今回のご依頼は、
今まで以上にいろんな経験をさせていただくことができた、
とても印象深いものでした。
修理は一つとして同じ内容のものはありません。
ですから、一つ一つのご依頼に
その時の全力を費やして取り組んでいくことが大切で、
その積み重ねが技術を磨き作業者を成長させてくれます。
要するに、
みなさまのご依頼があって、
ひねりては成長していくことができます。
ということで、どうぞこれからもひねりてをよろしくお願いいたします
大変お待たせしました、仕上がりをご紹介します!
より実用的にするために、
入り口部分にマチをつけて容量を大きくしてあります。
もうちょっといろんな角度から見てみましょう
撮影者がへたくそなために、写真が光ってたりボケてたりしてて、
いろいろ見にくい部分もありますが、お許しくださいね。
ポケット入口はあえて包丁で切りそろえず
革の端をそのまま使用して、ナチュラルな雰囲気の鞄に馴染ませました。
ポケットの留め具の造りは、本体入口の留め具と同じデザインにしました。
本体入口の留め具 ポケットの留め具
もともと飾りとしてアフリカンビーズが5か所についていましたが、
ひねりてでも仕入ルートを見つけることができ、
ご覧のような黄色いアフリカンビーズ(数種類の中からお客様が選択)
を留め具のループに取り付けました。
これでより鞄の雰囲気に馴染むし、個性をプラスできましたよね
手縫いの縫い目はこんな感じです。
この鞄にはオレンジの糸が使用されており、
この糸にどれだけ近いものを仕入れられるかが、
今回のアレンジの仕上がり具合を決めるポイントでした。
いろいろ調べた結果、
アメリカ製のイミテーションシニューを使用することにしました。
この糸、すでに生産停止された限定品だそうです。
遠方の業者から写真とメールのやり取りだけで、
私の限られた想像力をめいいっぱい駆使して仕入れたのですが、
ばっちり予想通りの糸で一安心しました
実際に使われている糸の種類は定かではありませんが、
見た目の雰囲気に合う糸を仕入れられたことが、
今回のアレンジをより質の高いものにしてくれたと思っています。
あの悩ましいシミもこの通り、無事に隠せました
このシミも(赤丸部分)
↓
このように留め具ストラップの付け根の下に隠せました(赤丸部分)
以上のような仕上がりにお客様もご満足いただけたようで、
無事納品できました
ポケット(マチ付)取り付けアレンジ
シミ調査用の送料含む 24150円
納期 約1か月
今回のご依頼は、
今まで以上にいろんな経験をさせていただくことができた、
とても印象深いものでした。
修理は一つとして同じ内容のものはありません。
ですから、一つ一つのご依頼に
その時の全力を費やして取り組んでいくことが大切で、
その積み重ねが技術を磨き作業者を成長させてくれます。
要するに、
みなさまのご依頼があって、
ひねりては成長していくことができます。
ということで、どうぞこれからもひねりてをよろしくお願いいたします
2012年08月02日
手提げかばんのシミ隠し その2
前回のつづきで、今日は修理過程をご紹介
お客様との打ち合わせで決めた内容は、ざっと以下の通りです。
・シミが隠れるように鞄のデザインに馴染むポケットを取り付ける
・実用的にするためポケット入口にマチをつける
・本体の留め具と同じようなデザインの留め具を取り付ける
・もともとあるステッチの糸と近い糸で手縫いする
革は
ちょうどこの鞄の色合いに近いものがあり、
それを大阪の業者で鞄に馴染む厚みに漉いてもらいました。
コバ(革の切り口)と内側になる面は
磨き剤でしっかり磨いて毛羽立ちを抑え、防水、防塵効果を上げてます。
元の革の感触に近づけるため、オイルもしっかり入れてあります。
今回の一番の難所は手縫いです。
組み立てる前の平面の状態であれば、
ミシンよりは時間がかかりますが、特に問題ない作業です。
でも今回は、立体的な状態で内貼りが付いたまま
片手は手探りで作業することになり、
それが結構大変なんです
ご覧のとおり、内貼りの底周辺をカットして20センチほど開けたところから、
片手を入れて手探りで針を操ることになります。
その縫い方を少しご説明しますと、
ポケットを鞄本体に接着して、縫い穴をあけます。
糸の両端にそれぞれ針をつけて、
表側からと裏側から八の字を書くように一目ずつ縫っていきます。
裏から針を手探りで出す様子はこんな感じです。
表から目打ちを刺して、
すでに開けている穴を広げて針を通しやすくします。
次に、その目打ちをガイド代わりにして内側から針を出します。
↓
といった感じで、この作業を延々続けていくのであります。
継続は力なりとはよく言ったもので、(ちょっとニュアンス違うかなぁ?)
半分ほど縫ったあたりからコツがつかめ、
けっこうリズムよく縫い進めることが出来ました♪
最後は裏側でしっかり玉結びをして仕上げます。
負荷のかかりやすいポケット入口の両サイドと、
使用による摩擦で弱っていた左右の鞄底角には、
裏から補強テープを貼って強度を上げてあります。
内側の縫い目はこんな感じです。
ポケットの留め具になるループも内側から手縫いをしてあります。
しっかり玉止めした後は、
ループが不安定に動かないように補強もかねて薄いシートを貼りつけました。
この鞄の本体は、一枚の革をうまく組み立てて仕上がっています。
これはとっても贅沢な革の使い方です。
縫製部分はすべて手縫いで仕上げてあるし、高価なはずですね
そんな鞄に穴をあけるような加工をするのはとっても緊張しましたが、
しっかりした準備とシュミレーションをして慎重に取り組むことで、
何とかトラブルなく予定通りの仕上がりにできました
で、その仕上がりですが・・・
ざんね〜ん、ちょっと長くなりすぎたので、
次回に持ち越させていただきます。
ドラマのいいとこで終わるみたいなじらし方ですみません
明日必ず載せますので、しばしお待ちを・・・
お客様との打ち合わせで決めた内容は、ざっと以下の通りです。
・シミが隠れるように鞄のデザインに馴染むポケットを取り付ける
・実用的にするためポケット入口にマチをつける
・本体の留め具と同じようなデザインの留め具を取り付ける
・もともとあるステッチの糸と近い糸で手縫いする
革は
ちょうどこの鞄の色合いに近いものがあり、
それを大阪の業者で鞄に馴染む厚みに漉いてもらいました。
コバ(革の切り口)と内側になる面は
磨き剤でしっかり磨いて毛羽立ちを抑え、防水、防塵効果を上げてます。
元の革の感触に近づけるため、オイルもしっかり入れてあります。
今回の一番の難所は手縫いです。
組み立てる前の平面の状態であれば、
ミシンよりは時間がかかりますが、特に問題ない作業です。
でも今回は、立体的な状態で内貼りが付いたまま
片手は手探りで作業することになり、
それが結構大変なんです
ご覧のとおり、内貼りの底周辺をカットして20センチほど開けたところから、
片手を入れて手探りで針を操ることになります。
その縫い方を少しご説明しますと、
ポケットを鞄本体に接着して、縫い穴をあけます。
糸の両端にそれぞれ針をつけて、
表側からと裏側から八の字を書くように一目ずつ縫っていきます。
裏から針を手探りで出す様子はこんな感じです。
表から目打ちを刺して、
すでに開けている穴を広げて針を通しやすくします。
次に、その目打ちをガイド代わりにして内側から針を出します。
↓
といった感じで、この作業を延々続けていくのであります。
継続は力なりとはよく言ったもので、(ちょっとニュアンス違うかなぁ?)
半分ほど縫ったあたりからコツがつかめ、
けっこうリズムよく縫い進めることが出来ました♪
最後は裏側でしっかり玉結びをして仕上げます。
負荷のかかりやすいポケット入口の両サイドと、
使用による摩擦で弱っていた左右の鞄底角には、
裏から補強テープを貼って強度を上げてあります。
内側の縫い目はこんな感じです。
ポケットの留め具になるループも内側から手縫いをしてあります。
しっかり玉止めした後は、
ループが不安定に動かないように補強もかねて薄いシートを貼りつけました。
→
この鞄の本体は、一枚の革をうまく組み立てて仕上がっています。
これはとっても贅沢な革の使い方です。
縫製部分はすべて手縫いで仕上げてあるし、高価なはずですね
そんな鞄に穴をあけるような加工をするのはとっても緊張しましたが、
しっかりした準備とシュミレーションをして慎重に取り組むことで、
何とかトラブルなく予定通りの仕上がりにできました
で、その仕上がりですが・・・
ざんね〜ん、ちょっと長くなりすぎたので、
次回に持ち越させていただきます。
ドラマのいいとこで終わるみたいなじらし方ですみません
明日必ず載せますので、しばしお待ちを・・・
2012年07月31日
手提げかばんのシミ隠し その1
今回ご紹介する修理は複雑なので、
2〜3回に分けてお伝えしようと思います。
まずは、最初に持ち込まれた時の鞄の状態です。
このアンリ・クイールの手提げ鞄はお客様のお気に入りで、
クローゼットの下のほうに大切に保管されていました。
ところが、気が付くと革の表面と内貼りにカビが生えていて、
きれいにふき取ってみても写真のように黒いしみがついてしまって
とれなくなっていたのだそうです
それはそれはショックでしたでしょう・・・
購入先のお店でも対応のしようがなかったようで、
しばらくの間使用できずに眠らせていたということでした。
そんな時にひねりてを知ったお客様は、
黒いしみを取り除くか染めるなどして、
今より目立たなく出来ないかと相談に来られました。
正直なところ、
こういう症状を見るのはひねりても初めてでしたので、
そのことと、時間がかかる可能性、
中断する可能性やリスクなどをご了承いただいた上で、
シミ取りと染めで対応してみることにしました。
それでは、まずシミの観察です。
これは見ただけでも、
クリーナーや洗剤で取り除けるようなシミではなさそうです。
が、念のため
素材の様子を見ながら数種類のクリーナーを試してみました。
やはり何の変化もありません
表面を少し削って顔料染めで対応しようかとも思いましたが、
ちょっといい仕上がりにはなりそうもありません。
いろいろ思案してみましたが、
まずこのシミの正体を知ったうえで決断したいと思い、
皮革の専門家に相談することにしました
大阪にある、相談先の皮革試験所の方はとても協力的で、
今回の鞄を送り(お客様の承諾は得てます。)
鞄にダメージのない範囲で出来る調査をしてもらいました。
その結果出た結論は、
このシミはカビではないということ、
おそらく何かの成分と革の中の成分が化学反応を起こして
変化したのではないかということでした。
その他いろいろアドバイスをいただいて検討した結果、
以下の3通りの方法を考えて、お客様にご提案してみました。
①最初の予定通り表面を少し削って近い色の顔料で染める
(かなりリスクが高く、オススメ出来ない内容)
②シミを隠すサイズの革を表からあてて縫い付け、カバーする
(サイズは相談に応じる、
シミのある面全体をカバーするように大きな1枚の革でも、
3か所あるシミの各場所にお客様の好きな形にカットした革でも可能)
③シミが見えなくなるようなデザインでポケットを取り付ける
そしてお客様が選ばれたのは、
③番
しかも周りの縫い方と同じように手縫いで取り付ける、
デザインの細部まで凝った内容のものです。
見た目が一番自然に馴染み、
個性を演出できるいいアレンジを選ばれたと思います。
見た目や、強度、素材への影響など総合的にみて、
個人的には一番お勧めの内容でしたが、
作業内容からどうしても高額になる方法なので、
ほかの選択をされるのではと思っていました。
ですから選択していただいたときは、
うれしかったです
次回は作業工程と、できれば仕上がりまでお伝えしますので、
お楽しみに
2〜3回に分けてお伝えしようと思います。
まずは、最初に持ち込まれた時の鞄の状態です。
このアンリ・クイールの手提げ鞄はお客様のお気に入りで、
クローゼットの下のほうに大切に保管されていました。
ところが、気が付くと革の表面と内貼りにカビが生えていて、
きれいにふき取ってみても写真のように黒いしみがついてしまって
とれなくなっていたのだそうです
それはそれはショックでしたでしょう・・・
購入先のお店でも対応のしようがなかったようで、
しばらくの間使用できずに眠らせていたということでした。
そんな時にひねりてを知ったお客様は、
黒いしみを取り除くか染めるなどして、
今より目立たなく出来ないかと相談に来られました。
正直なところ、
こういう症状を見るのはひねりても初めてでしたので、
そのことと、時間がかかる可能性、
中断する可能性やリスクなどをご了承いただいた上で、
シミ取りと染めで対応してみることにしました。
それでは、まずシミの観察です。
これは見ただけでも、
クリーナーや洗剤で取り除けるようなシミではなさそうです。
が、念のため
素材の様子を見ながら数種類のクリーナーを試してみました。
やはり何の変化もありません
表面を少し削って顔料染めで対応しようかとも思いましたが、
ちょっといい仕上がりにはなりそうもありません。
いろいろ思案してみましたが、
まずこのシミの正体を知ったうえで決断したいと思い、
皮革の専門家に相談することにしました
大阪にある、相談先の皮革試験所の方はとても協力的で、
今回の鞄を送り(お客様の承諾は得てます。)
鞄にダメージのない範囲で出来る調査をしてもらいました。
その結果出た結論は、
このシミはカビではないということ、
おそらく何かの成分と革の中の成分が化学反応を起こして
変化したのではないかということでした。
その他いろいろアドバイスをいただいて検討した結果、
以下の3通りの方法を考えて、お客様にご提案してみました。
①最初の予定通り表面を少し削って近い色の顔料で染める
(かなりリスクが高く、オススメ出来ない内容)
②シミを隠すサイズの革を表からあてて縫い付け、カバーする
(サイズは相談に応じる、
シミのある面全体をカバーするように大きな1枚の革でも、
3か所あるシミの各場所にお客様の好きな形にカットした革でも可能)
③シミが見えなくなるようなデザインでポケットを取り付ける
そしてお客様が選ばれたのは、
③番
しかも周りの縫い方と同じように手縫いで取り付ける、
デザインの細部まで凝った内容のものです。
見た目が一番自然に馴染み、
個性を演出できるいいアレンジを選ばれたと思います。
見た目や、強度、素材への影響など総合的にみて、
個人的には一番お勧めの内容でしたが、
作業内容からどうしても高額になる方法なので、
ほかの選択をされるのではと思っていました。
ですから選択していただいたときは、
うれしかったです
次回は作業工程と、できれば仕上がりまでお伝えしますので、
お楽しみに