› ひねりてのお直ししまSHOW › 2019年06月22日
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2019年06月22日
パイソン手提げかばんの破れ補修
こんにちは
今日の広島は蒸し暑いです
ひねりて的にはもうとっくに梅雨入りしてる予定だったのに
実際は来週頃梅雨入り予定みたいです
う~ん、ギュギュっと
一気に降るようなことにならないといいんだけど・・・
ちょっと心配ですね
非常持ち出し袋、今週末点検してみます!
さて、今日の商品はこちら
パイソン(蛇革)の
大型手提げかばんです!
こちらの商品
持ち主様の息子さんからの贈り物だそうで
嬉しくて
お仕事用に毎日ガシガシ使用していたため
こんな感じに変形して、結構くたびれた状態でした
正直なところ全体的に傷みがひどく
簡単には手を付けられない状態だったのですが
まずは大きく傷んだ場所をご覧ください
ここが一番重傷だったところで
かなり大きく破れ、革が一部ちぎれて無くなっています
以前どこかに修理に出されたという事で
その際の処置なのか、大きく破れている付近は
内側の生地に貼りつけられていました。
底の角の鱗が破れてはがれています
手前の持ち手の左側付け根に巻いてある革帯が
1か所無くなっています
他にも見た目にはわかりにくいですが
元々薄手の蛇革が、長年の使用で劣化しているため
鱗の継ぎ目が薄くなっていて
いつ破れてもおかしくないような状態のところが
あちこちにありました
まず最初にこの状態を確認した後
これをそれなりに安心して持てるようにするには
10万超えの覚悟が必要だけど
そこまでやっても再発が早い可能性はあるので
こちらとしては安易に修理をお勧めできない
という事をはっきりお伝えさせていただきました
が、この方、
息子さんからの大切なプレゼントなので
どうしても手放せないし
このままの状態で置いておくのは
あまりに見た目が傷みすぎていて息子にも申し訳ない
ということで、
もう使用は出来なくても
思い出の品として飾っておける程度に
見た目を整えてほしいとのことでした
それなばらとひねりて
いつものように
あれこれリスクと条件を提示し、ご了承後
受付させていただきました
一番傷んでいたところ
分かりますか?
革が違うからわかりますよね!左上のあたりです
まず天口部分のステッチを大きくほどいて
この表面の劣化部を含む半分以上の範囲に
裏から不織布を張り付けて補強し
その後、破れ部付近を大きめにカバーするサイズの羊革を
裏から貼り付けて天口部分を縫いもどしてあります
基本的に飾るための修理で
見た目をよくすることが最優先なので
破れ部に新たな縫い目はいれず、接着だけで仕上げてあります
中央右寄りの天口ステッチ近くにも同じく
裏から革で補強してあります
ここも大きく分解して
出来るだけ広範囲に不織布で補強して縫い戻してあります
持ち手付け根の革帯は新しく作成してます
手前の左側です
別方向から見るとこんな感じ
右側が交換したほうです
こうやって比べるとわかりますが
遠目にはわかりにくく馴染んでいます
最後に内張りも縫い目部分が全体に引っ張られて
大きく綻んで縫いしろが無くなっているようなところもあったので
とりあえずの簡易的な方法ですが
つまんで縫い留めておきました。
このやり方だと、
本体のサイズよりも若干小さめになっているため
あくまで形だけ元に戻すための修理で、
ガシガシ使えるようにするための修理ではありません
パイソン(蛇革)大型手提げかばん
穴あき、破れ部革あて補修3か所
(分解数か所、破れ部周辺の補強あり)
内張りほころび修理
全体メンテナンス
持ち手付け根パーツ作成1か所 33000+税円
作業期間 約1か月
先日引取りに来られた持ち主様
仕上がりを見るや否や
「ああ、これならまだ持てる使いたいわぁ」
とおっしゃったので
「ん~、飾って保管するには十分な強度にはしてますが
ガシガシ使う前提での修理ではないですから
取り扱いには気を付けてくださいね!」
と一言お願いさせていただきました
でも、使いたいお気持ちもわかります
息子さんがこれをプレゼントされたのは
十数年前ということで
まだ、お仕事されて間もないころに
高価な贈り物をされてますよね
お母様もそんな息子さんの気持ちが
ほんとにうれしかったご様子で
高額な費用をかけてでも修理して大切にしたかったようです
親子愛溢れる修理に関わらせていただき
ひねりても幸せです