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2017年09月09日
QUELボストンバックのファスナー交換とその他修理
今日はこのブログへの登場が2度目のブランド
クエールのボストンバックの修理をご紹介しましょう

持ち込まれた時の状態はこんな感じです

ショルダーストラップを留めておくベルトとセットの
ボタンが無くなっています

本体にある2本のファスナーのうちの1本
ちょうどカーブになっているところあたりの生地が
破れてしまってます

ファスナーの引手の革が劣化で破れかけています

ストラップの付け根の劣化
土台に縫い付けてあった樹脂パーツがちぎれて
ストラップの付け根も擦れてきています

持ち主様はお医者さんで
この鞄をお仕事でガシガシ使われているご様子
ご要望は、
軽くて使いやすいから全体の強度のバランスを見つつも
丈夫に修理しながら出来るだけ使い続けたいという事でした。
色々打ち合わせをさせていただき
ひねりてが修理途中で思いついたプランへ
変更しつつ仕上げたものがこちらです

ボタンはもともと金属のものがついていたという事でしたが
狭い駐車スペースでの車の乗降時に
万が一他の車に擦っても、傷がつきにくい素材のボタンを
希望されていたので
仕入れられるボタンの中から検討して
革のクルミボタンを作成して取り付けてみました

東京で仕入れた革の中にぴったりの色合いのものがあったため
かなり馴染んでると思います

下の写真の上側が交換したファスナーです
左が元からあるファスナーで、右が交換したほうのファスナーです

ここが作業途中にプランを変更した部分で
元のファスナーはおそらくドイツなどの海外製のためか
ひねりての仕入れ先のYKKにはないサイズのものがついており
コイル部分は見た目にあまり変わらないのですが
布テープの幅が明らかに元のほうが広かったので

その誤差を補うために革の帯を取り付けることにしました

結果的には
直接本体に布テープを縫い留めるよりも
布テープへの負荷が少なく出来て
今回のような症状を起こしにくい構造に
変えることが出来たと思います

引手の付け根の劣化部分はカットして
新しい革で丈夫に作り直しました。
ナイロンテープも入れ込んでいるので
元よりだいぶ強くなってますよ!
ストラップ付け根は
ちぎれていた樹脂パーツは取り外して
ストラップの劣化部分もカットして新たに取り付け直しました
裏から丈夫な不織布で土台を補強したうえで
元とは違ったところも縫い留めて
この鞄の荷物の荷重を二分する部分だけに
出来る限り強度を上げた修理をしてあります



クエールボストンバック
ファスナー交換(一部アレンジあり)
引手付け根部分革継修理 2個
ストラップ付け根土台補強+ストラップカット 2か所
革クルミボタン作成 1個
32000+税円
作業期間(材料仕入れ期間含む) 1か月
オーナー様にはご満足いただけたようで
この鞄と入れ替わりに
また別の修理をご依頼いただきました

実はオーナー様、このブログの
初めてクエールの鞄の修理を紹介した時の記事をご覧になって
来店いただけたという事でした

こういう反応を頂くと
ブログを書いていてよかったと実感できて
益々筆も進みます
ありがとうございます


これからもコツコツ書き続けて参りたいと思いますので
みなさま引き続きお付き合いのほどお願い申し上げます

2013年01月26日
QUEL メッセンジャーバック プラスチック製留め具交換
今日はプラスチック製の留め具交換についてと、
ちょっと感動したことをお伝えします

商品はQUEL(クエール)のメッセンジャーバック

かぶせ内側のこの留め具の、オス側が破損してしまっています


メス側は黄色系の個性的な色合いになっているので、
合うものを探せたらオス側だけの交換をしたかったのですが・・・
残念ながら合うものは見つけられませんでした

ですから、セットで交換します。
まずこの留め具、
メス側がけっこう込み入った手順で縫いとめられていました。

元とまったく同じように縫いとめるには大げさな作業をすることになり、
その分作業代金も大げさな価格になりますが

そこまで縫い方にこだわる必要もない部分でしたので、
持ち主様と相談の上、縫いとめ方を変えて作業しました

かぶせ内側 かぶせ表側

でははじめましょうか
まず分解


ここからのミシン縫いに少し技が必要です

表のステッチを縫うとき、上はこの状態ですが・・・

下はこんな状態


このように、
下に留め具がある状態のすぐ近くを縫うため、
送りをはずして、下側の状態を気にしつつ縫い進めていくわけなんです

この作業、気を抜くと、
下のパーツがずれて縫いとめられてしまうという事態になりがちなので、
集中力全開でがんばりましたっ

そんなこんなで仕上がったのがこんな感じです

かぶせ内側のメス側の状態

土台が生地なので、
元のステッチ穴はほとんどわからない状態です。
元のステッチ穴はほとんどわからない状態です。

表側のステッチ部分

オス側もベルトの端をほどいて交換しました。

プラスチック留め具(バックル)交換 1セット
分解あり 3150円
納期(材料の調達状況による) 1週間〜
さて、もう一つお伝えしたい感動したことですが、
最初にお預かりした時から気になっていたこの部分

マジックテープ(オス側)のステッチ部分が一部外れてかけていました

こちらの鞄、
以前このマジックテープのメス側を
すべて交換する修理もさせていただいてまして、
強力にくっつくようになったぶん、
このままではどんどん進行してしまいそうです

ここはご依頼部分ではないので、
出来たらサービスで作業したいとこなのですが

この鞄の構造からすると、結構複雑な手順が必要になるので、
サービスは難しいなぁと悩みながら、
鞄を観察してました

すると、ちょっと気になるファスナー発見


真ん中のポケットの両端にあるファスナーです。
内ポケットだらけだけど何のためにこんなにあるんだろ〜?
とあけてみてびっくり

ただの穴で、
内張りと本体の間に手が入れられる状態になってました


と、いうことは・・・
先ほどの部分を分解しないで縫いとめられちゃいます

さっそく縫っちゃいましょうね!
先ほどの穴からミシンにセットすれば

こんな風に分解なしで縫いとめられます


これで、安心


今回このすばらしい工夫を見つけられたことで、
簡単に予防修理が出来、
お客様にサービスすることも出来ました

このような頑丈に作られた鞄は、
いろいろと考えられてしっかり作られている分、
どうしても分解するとなると作業代金がかかりがちなのですが、
このファスナーがあることで、
ずいぶん修理がしやすくなっています

このファスナーが
修理用に取り付けられているものなのかどうかは定かではありませんが、
今回の作業で大いに貢献してくれたことは間違いありません

こんなことはもうみなさまご存知のことで、
私が無知で未熟なだけなのかもしれませんが、
こういった構造の鞄に出会ったことがなかったので、
ちょっと感動してしまい


このような構造だと、分解しなくて良い分、
持ち主様に低価格で修理サービスを提供できるだけでなく、
素材の劣化を最低限に抑えられる、
商品にも優しい作業が出来ます

修理を生業にするものとしても個人的にも
今後このような
持ち主様、商品、作業者すべてにやさしい
優れもの達が増えてくれることを願います
