
・インスタグラム始めました

ブログ以上に店主の趣味嗜好をご紹介してますので
良かったらご覧ください。
「いいね!」と「フォロー」で応援していただけると
嬉しいです

ひねりてインスタグラム
・このブログは
広島近郊の方には、お店の詳細を知っていただくために
遠方の方には
身近なものを修理して使用する楽しさをお伝えするために
公開しております。

・右下の方にあるカテゴリの、一番上の記事
「ひねりてからのおことわり」の内容にご了承の上
ご来店ください。

・ブログ内で、過去に修理した作業内容や価格
納期などをご紹介しておりますが
同じ修理内容でも対象商品の状態や仕上げ方などによって
価格や納期は変わります。
あくまで目安として
参考にしていただくために公開しておりますので
予めご了承ください。

・2014年4月より前の記事では
その当時の消費税率5%で価格表示してありますが
実際にはご来店時点での消費税率で
対応させていただくこととなります。

・当店は予約制ではありませんので
営業時間内のご都合の良い時に、修理したい商品と
どんな修理にしたいかという構想を持って
ご来店ください。

場合によってはお客様が集ってしまうこともありますが

その際は、携帯電話をお持ちの方には
店外で他の用事などをしてお待ちいただき
受付の順番になったら、ご連絡させて頂いております。

2020年09月26日
エルメスの折財布をしっかりメンテナンス(後編)
こんにちは
今日は前回の続きの仕上がりをご紹介します

半分以上分解して
縫い直しをしてあるのですが
まずはどんな感じかご覧ください

このファスナーの下側のラインを縫い直してあります
この小銭入れの中はグレーの汚れがべったりついてましたが
クリーナーで拭きあげて、こんな感じになりました

ベルトは芯交換して縫い戻してあります
before after
コバは内側以外すべて磨きなおしてます
こちらのお財布
ミシン縫いと手縫いを使い分けて仕立てられてまして
今回組み立てなおす際も
その通りにミシンと手縫いを使い分けて仕上げました

ここはミシン縫いです
こっちは手縫いです
同じく手縫いです
そしてこのパーツだけは新しく交換しました
今回使用した糸はオリジナルにできるだけ近い色合いと太さのものを
特別に仕入れましたがいかがでしょう?

上の写真の縦のラインは新しい糸
横のラインは元のオリジナルの糸です。
かなり近い糸で仕上げられたので、うまくなじんでいます。

今後使用していかれるほどに、より馴染んでいくでしょうね

HERUMES
ベアンコンパクト
ほころび縫い7か所
ベルト芯交換
コバ塗りなおし
全体クリーニング 36000+税円
作業期間 約1ヵ月
持ち主様は、ご依頼時に
交換パーツ用の革をずいぶん迷いながら選ばれていましたが
また長い付き合いしたいと思うからこそ
それだけ迷われたのでしょうねぇ

今回の仕上がりを見て、満足いただけて一安心です

2020年09月19日
エルメスの折財布をしっかりメンテナンス(前編)
こんにちは
今日の広島は気持ちの良い秋晴れです



ではさっそく本日の商品をご紹介します

みなさん一度は目にしたことがあるのでは?
と思うくらいよく見かける人気商品
エルメスの折財布、ベアンコンパクトです



こちらは確か20年以上ご愛用の一品ということで
全体的に傷みが進んでいる状態ですね

擦り切れてなくなっているところがあります




小銭入れの内側もこの通り

ここは汚れやすい部分ですよねぇ

でもここのクリーニング
クリーナーを使えば
結構綺麗に汚れを落とすことができるので

やりがいのある気持ちのいい作業だったりもします



と、長年のご使用によって
まんべんなくあちこちの糸が擦り切れて
汚れもついている状態ですので

今回は半分以上解体して
汚れを落としつつ部品交換と
縫い直しとコバのみがき直しをすることになりました

では一部、仕上がりをご覧ください

修理前
修理後
オーナー様が悩みに悩んで決められましたが
いかがでしょう?
遠目からや、照明が変わるとまた違って見えるのですが

今日はここまで

続きはまた次回のお楽しみということで
みなさまよい4連休をお過ごしくださいませ

2019年02月16日
HERMES 折財布を全体メンテナンス
こんにちは
さっそくですが、本日の商品はこちら
HERMESの折財布です
何年物とおっしゃってたかなぁ・・・・?
とにかく年代物です

使用による摩耗であちこちに傷みが出てきてました


今後も出来るだけ長く使用したい
というオーナー様のご意向を踏まえて
というオーナー様のご意向を踏まえて
修理してみましたので、ご覧ください

半分くらい分解のつもりが、
あちこちはずれてきて、結構解体されてしまいました

これも修理あるあるです・・・



小銭入れの両マチの入り口が破れていたので
そこにナイロンテープで補強後
薄い革でカバーして元に戻しました

マチの外側

マチの内側

ベルト部分は中の芯を不織布から革に交換し
さらにナイロンテープを入れ込んで強度を上げてあります

元の表側の劣化が進んでいたので
表と裏を入れ替えて仕上げました
こっちがもともと表側になっていた革です

ベルト通しのループは新しい革で作成しました

角の革が朽ちてしまっていたところは
なるべくデザインを変えたくないというオーナー様のご要望から
表に革は当てず、
なんとな~く鉛筆スケッチを指でこすってぼかすような
仕上げにしてあります

分かりにくい?

まあ、強度重視というより
見た目重視の(と言っても費用をかけすぎない)仕上げで

使用に問題ない程度に外観をぼかした仕上げという感じです


HERMES 折財布
ベルト芯交換、表側4辺縫い直し
小銭入れマチ補強2か所
ベルト通し作成
その他ほころび部数か所
補強数か所 36000+税円
作業期間 2週間
オーナー様がご自身で
少し修繕されていらっしゃる所があったのですが
瞬間接着剤を使用されており、ちょっと焦りました




というのも、
瞬間接着剤は得てして
添付した部分の革を使用不可能にしてしまうからです

革もボンドの事も
良くその性質を分かったうえで使用する場合は
例外もあるかもしれませんが

まず革には瞬間接着剤は禁物
と思って頂いていたほうが安全ですので

みなさま、ご自身で何か修繕される場合は
革用のボンド、もしくは木工用ボンドなど
硬化後も柔軟性のある接着剤にされることを
お奨め致します

2018年11月10日
HERMESジャケット、襟の縁をパイピングアレンジ
こんにちは
まだ1週間しかたってないことが嘘のようですが
カープ、日本一に一歩及ばす・・・でした

ひねりての感想を言わせていただくと
最後の試合を除く全試合、結果的に負けた試合も含めて
どれも見ていて面白かったです

ただ、欲を言えば、最後の試合にも
もっと元気で粘り強い、
何かやってくれるんじゃないかというような
しつこい姿勢を見せてもらいたかったです

みんな顔が暗くて、
気持ちで負けてるように見えてしまいました



と、勝手な感想を述べさせていただきましたが
これもまたプロ野球の楽しみの一つ、
お許しくださいね

ま、また来年
この経験を生かした球宴を見させてもらえることを
楽しみにしたいと思います

では切り替えて、本題にいきましょう!
今日の商品はこちらのジャケット

おフランス育ちのエルメスさんです

この度、修理前の写真を撮り忘れてしまってまして

上の写真は修理後のものなんですが
どこを修理したかお分かりでしょうか?

答えはこちら

この襟の縁に革でパイピングを施しました

今回、オーナー様は
クリーニングに出されたあとの状態で
このジャケットを持ち込まれました。

パッと見分かりませんでしたが
良く拝見すると、長年の使用による素材の劣化のせいか
この襟の縁周辺の色が薄く変色してしまっていて
そのままではちょっと気になる状態でした

かれこれ10年ほど
大切にメンテナンスをしながらご使用されていらっしゃる
お気に入りの品という事で

まだこれからも出来るだけ長く使用したいので
その変色部分をうまくデザイン的に隠したい
というご要望でした

ということで、あれこれ相談しながら、
ひねりてでご用意できる革の中から
より馴染むものを一緒に選び
糸色や仕上げ方も細かく打ち合わせをして
このような仕上がりになりました

表 裏
オーナー様のご要望に沿って仕上げた端の処理
今回のジャケットのように
シンプルで上質な雰囲気を壊さないためには
こういう細かい処理に気を使う必要があります

出来るだけ全体に違和感なく馴染ませるために
もともとついていたファスナーの引手の革に
色も質感も近いものを選んで仕上げてみましたが
いかがでしょう?
HERMES
紳士ジャケット、襟の縁にパイピング加工 8000+税円
作業期間 7~10日間
こちらのジャケット
襟付け根の内側とポケットの内側だけ
こんな風に、鮮やかなオレンジ色が配色されています

一見地味でオーソドックスに見える
暗いトーンのオリーブカラーに、この配色があるだけで
なんだか個性的で洒落た感じに見えますねぇ

こういう色使い、結構好きです

持ち主様も、
この色合いが気に入った理由の一つのようで
最後までパイピングの色を
オレンジと今回の茶色で悩んでいらっしゃいましたが

やはり茶色で正解だったように思います

これだけ鮮やかなオレンジは
ちら見えくらいがちょうどいいのかな?

朝晩が冷え込む今日この頃・・・
日々活躍していることでしょう

2018年08月30日
エルメス、リバーシブルトートバックの底をカット(その2)
こんにちは
今日は前回の続きで、
トートバックの底をカットした修理をご紹介します

では、さっそく作業後の仕上がりをご覧ください

25㎝になるように9㎝カットしてあります

底から見たらこんな感じ



before

after

before

after



リバーシブルなので
ひっくり返したらこんな感じ
出来るだけ同じように見えるよう仕上げてみましたが、
いかがでしょう?

手前側の茶色の天口部分を分解して作業しました

カット残
HERMES Double Sens
底から9センチカット 24000+税円
作業期間 3~4週間
今回のように大きめのトートバックが使いづらくて
カットしてほしいというご依頼は、結構あります

ベルトなどもそうですが
海外製の商品は

やはり海外の方向けに作られているので
小柄な日本人には大きすぎることも多々あると思います

そんな残念な一品をお持ちの方は
一度ひねりて迄ご相談くださいませ

あ!ただし

明日からひねりて、5日間は出張で留守にしてますので

どうぞご注意くださいね

詳しくはこちらをご覧ください

2018年08月25日
エルメス、リバーシブルトートバックの底をカット(その1)
こんにちは

今回は大きい鞄を小さくするために
底からカットした作業を2回に分けてご紹介します

商品はこちらの
エルメスのトートバック

ご覧のとおり
茶色とピンクのリバーシブルです



この長さが長すぎて使いにくいという事で
底からカットするわけですが・・・
リバーシブルなので
同じ作業を2回する必要があります



きれ―に磨き上げられているこのコバ

出来ればさわりたくないけど
ここを一部分解する必要があります



仕上がりは次回ご紹介しますね

さて、今日はちょっとご報告です

実はひねりて
先月末に初の北アルプスに行ってまいりました

基本、地元の山で充分楽しめるタイプなのですが
今年はちょっと新しいことに挑戦したい
という気持ちが高まりまして

兼ねてから山仲間に
その壮大さを聞いていた北アルプス
穂高連峰に挑戦してきました。
その時の写真がとっても綺麗で

涼しげなので(実際涼しかったのですが)

残暑お見舞いがてら皆様に涼をお届けすべく

少しご紹介させてもらいたいと思います


目指すは中央に見える穂高連邦

台風が接近する中のスケジュールだったため

登頂中止を覚悟で向かった旅でしたが
初日と最終日は晴天に恵まれ

北穂高岳と奥穂高岳に挑戦して
北穂高岳は後もうちょっとというとこで
天候不良のため引き返しましたが

奥穂高岳に登頂することが出来ました


その過程では
こんなとこや

あんなとこがあったり

かわいい植物に励まされたり

そんなとこもあったりして・・・



どこもかしこも岩だらけのところを登り続けて
なんとか登頂しましたが・・・
山頂で立つのが怖くてへっぴり腰のひねりてです


登頂できたことはもちろんうれしかったのですが
いろんな景色に出会えたことがなによりのご褒美でした

霧が晴れた瞬間に見えた山頂直下の絶景


多くの人が憧れるジャンダルム


前穂高岳

空と大地のはざま
涸沢カールの夕焼け

思わず友達と笑った矛盾を感じる図
夜明けの瞬間

モルゲンロート

清々しい朝日と緑
もちろんこっちのご褒美も満喫しましたよ

奥穂高岳登頂後の打ち上げでご馳走




涸沢ヒュッテの名物おでん
上高地名物!?山賊焼きとメンチカツの定食
今回の消費カロリーが1万キロ以上と知り
つい調子に乗って頼んだけど・・・多すぎたぁ

でも美味しかったぁ

最後は青空のもと

お風呂でさっぱりした後、あそこにのぼってきたぞ~の図
最後は青空のもと
焼岳と梓川に見送られながら帰路につきました

それにしても

それにしても
旅の始めから終わりまで見続けた友人の背中は
とても頼もしかった

ひねりての挑戦に

ひねりての挑戦に
絶妙な距離感で伴走してくれてどうもありがとう

ほんとうに、お疲れ様でした

2018年05月26日
エルメス、ピコタン、ブルージーンの全体染
こんにちは
今日は鞄の全体染をご紹介します

商品はエルメスのピコタン
恥ずかしながらひねりて、
つい先日この名前を知ったのですが

こんなかわいらしい名前だったんだと
それ以来必要以上に名前を連呼してます

ここで、正直に申しますと
染はひねりての専門外の分野でして
これまでは黒や濃茶の部分的な色はげ部分を
目立たなくする程度の染であれば
受け付けさせていただいてましたが
今回はそうはいきません

これまで
こういうケースの時に紹介していた
腕利きの広島の染職人さんは
残念ながら、都合により現在休業中ということで、
今回お客様に送料、手数料、時間がかかることを
ご了承のうえで、ひねりてが信頼をおく
大阪の染職人さんにお願いしました

まずは持ち込まれた時の状態をご覧ください

長年のご使用により、全体に色あせて
特に底の4隅は完全に塗料がはがれてこんな感じに・・・

持ち手と天口周りのコバも
ひび割れてはがれてきている状態でした

持ち手の付け根や
両サイドのベルト部分の
革が重なって縫い留めてある所以外は
この古いコートを落として再塗装出来ます

ただ、天口部分のコバは
革が伸びて繊維もほぐれてきていることもあって
どうしてもピシッと目の詰まった
新品の時のような仕上がりにはならず
再発も早い可能性は高いです

こういった予想されるリスクや仕上りのイメージを
事前に説明し、すべてご理解いただいたうえで
受付けさせていただきました。
で、仕上りはこんな感じです

少し黄ばんで白んできていた感じが一掃されて
目に鮮やかなスカイブルーに仕上がってます

目立っていたこのコーナー部分も
綺麗にむらなく塗装できています

そして、ここ
糸色が革色と違うため、
この糸が染まらないように処置して染めてあります

同じ作業者として想像するに
その作業はかなり繊細で時間のかかることでしょう

それだけの手間をかけるからこそ、
これだけの仕上がりに出来るんですね
すばらしい!!

持ち手部分は新品同様にきれいに仕上がってます

仕上がり具合を懸念していた
延びて弱っていた天口周りも
予想以上にきれいに仕上がっています

HERMES、ピコタン 全体染
コバ再塗装あり 31000+税円
作業期間 約1か月
仕上がりをご覧になった持ち主様は
これまた予想以上に喜んでくださって

「作業した職人さんによろしくお伝えください」
ということでした

もちろんすぐにお伝えさせてもらいました

実はその職人さんって
以前ここでもご紹介したことのある恭さんです!

以前の職場で
彼女の仕上げた商品は何度も目にしてまして
その繊細で上質な染技術の高さに

絶大な信頼を置いてましたが

今回久々にその仕上がりを拝見して
改めて確かな技術力を確認することが出来ました

という事で
染の事でお困りの方は
こんな心強い味方のいるひねりてまで
よかったらご相談くださいませ

2017年09月30日
HERMES アザップのくるみバネホック交換と引手補強修理
こんにちは
今日の商品はこちらのHERMESの折財布です
ご依頼場所は
この引手の革パーツ部分と
こちらのクルミホックです
革が破れてきれいに無くなってます

内側はこんな感じで
使うのには問題ありませんが
今回の修理でメス側は新しいものに交換します

早速仕上がりをご覧ください

革引手部分は内側から補強テープを接着して
新たにステッチを入れて強度をあげました

元のステッチの色目に合わせて
馴染むように仕上げてあります

クルミホックはこんな感じです
同じような型押しではありませんが
色目が近いもので仕上げたので
いい感じに馴染んでいると思います

内側はこんな感じです

エルメスアザップ
革引手補強縫い(コバ仕上げあり)
クルミホック(メス側)交換X1 4200+税円
作業期間 3~4日間
こちらのオーナー様は
ひねりてお得意様のビアリッツさん
上質なエルメスのアンティークからキュートな小物類まで
カラフルに取り揃った雑貨屋さんです

オーナーの白川様のセンスが光る

素敵なお店なので
大切な方への贈り物や

自分へのかわいい一品をお探しの方には
お奨めですよ

2016年11月26日
エルメス、ヴィンテージトートバック「ヒマラヤ」を思い切り修理しました!(その3)
さあ今回でこの鞄の記事も最終回です!
長らくお待たせいたしましたー

こちらが仕上がりの全容です

ベージュ色の部分はすべてヌメ革を使用し、
どのパーツも元の厚みより気持ち厚めに仕上げ
常に負荷のかかるような部分には
強化用にナイロンテープを入れるなどして
オリジナルに近い仕上がりにすることと同様に
強度を上げることにも努めました



ここからしばらくは
各部位の仕上がり具合をご覧ください

いかがでしょう?

この写真の右上のほうの糸が切れているのは
お分かりでしょうか?

この部分には
持ち手をつなげるための金具がついているのですが
その金具を外すとこのように糸が切れていました。
おそらくこの金具を取り付けるための穴をあける際に
糸が切れてしまったのだと思います

元々この状態で、これまでほころんでませんし
手縫いでしっかり固まっている部分なので
少々ではほころばないでしょうが・・・

不具合につながる可能性を見つけてしまった以上
やはりこのまま見過ごす事も出来ず

手縫いで強化しておきました

修理の都合上スライダーを外して作業する必要があり
その際この下止めを取り除いて
必要な作業後、再度組み立てて
新しい下止めを取り付けるわけですが・・・
このファスナーの生地も乾燥でかなり弱っており

上記作業を慎重にしたにもかかわらず
生地に穴があき始め

仕方なく土台に近い色の革で補強して

何とか使える状態にまでもっていった
苦肉の策の跡なのです



仕上げた後で
「もっといい方法がなかったかなぁ?」
とあれこれ考えましたが
やり直しが何度も効くほどの耐性すら無い
生地状態だったため

この仕上がりでとどめておく判断となりました

いや~それにしても
下手したらファスナーを別のものに変えるしかない
危機的状態だったので

何とか今後の使用に耐えられるだけの強度を与えたうえで

元の形をとどめた状態で仕上げられてほっとしましたー

持ち主様のご要望のなかに
出来るだけオリジナルのパーツは残したいというのがあり
ファスナーもその一つだったので・・・ほんとによかったです

さて、つづいてこちら
マチ部分と青い革の部分ですね

あとで交換前の部品の写真も載せますが
やはり青い革部分も全交換しておいて正解でした

分解していく先からピリピリポロポロと劣化は進み

元には戻せない状態に自ら変化していってました

このマチも元の厚みより0.5㎜ほど厚いものを使用してます

その0.5㎜の厚みが
作業性をより困難なものにしてくれるわけですが

縫製する周辺だけ少し漉いて仕上げるなど
より丈夫でありながら
見た目も綺麗に仕上げるための工夫を考えながら
作業を進めていきました

オリジナルの場合
このマチ部分はすべて手縫いで仕上げてありましたが

今回の修理では
八方ミシンと手縫いの合わせ技で仕上げてあります。
理由は作業性をあげて
費用を抑えるためです





すべて手縫いで縫い上げれば
縫い目をきれいにそろえて

丈夫に仕上げることは出来ますが

その分手間もかかり費用も上がります



ただでさえ大掛かりな修理
手縫いでなくても高額な修理代になるため

抑えられるところは押さえたいということで
出来るだけミシン縫いで仕上げて
構造上ミシンで不可能な部分だけ、手縫いで仕上げました

そういった理由とひねりての技術力不足もあって

オリジナルのようなほれぼれする仕上がりにはかないませんが

まあこんな感じに仕上がりました

反対のマチもこんな感じです
このコーナー部分をきれいに仕上げるために
結構気を使いました

あとは、この金具の革ベルトへの留め方が、
なかなか繊細な作業を要求されるような精巧さだったため

新しく作成した革ベルトに、
同じような取り付け方で、
なおかつ金具に傷を付けずに移動させる

ということが困難なのと

金具裏の革部分にエルメスの刻印があるのを残したい
という理由で
こういう仕上げにしてあります


といまだに心に残ってますが
これが今のひねりてに出来るベストであります

最後に今回交換したオリジナルの革パーツたちをご覧ください。
長い間ご苦労様でした

それにしても今回のこのお品
その個性的なフォルムにも驚かされましたが
それ以上にあまりの劣化具合に驚くことばかりで
・・・たとえば
糸をほどこうとして糸目に目打ちを入れると

・・・たとえば
糸をほどこうとして糸目に目打ちを入れると
革のほうがプチプチ切れていくという

全体が首の革一枚で繋がっているような状態でした

新品時には丈夫な革も

劣化でここまでもろくなってしまうということを
あらためて感じることのできる
貴重な体験をさせていただきました

エルメスヒマラヤトートバック
交換パーツ
持ち手、持ち手付け根革ベルト一式
左右マチ
右側青色革部分
かぶせ留用ベルトの一部分 135000+税円
作業期間 約2か月
ここまでに度々申しておりますが
今回の商品は組み立て方も複雑で
「え!ここまでミシンなのにここは手縫いなの?」
と思うようなところが多々ありまして

本当にまたとない、いい勉強をさせていただきました

「次同じ作業をするなら、こうしたいああしたい
」

という思いも湧いてきておりますが・・・・
いやいや、そうそうこういうご依頼はないでしょうねぇ

それだけにこんなひねりてを信頼して任せてくださった方
ビアリッツの白川様には感謝するばかりです

え?どなた?と思われた方はこちらをご覧ください
ひねりてのご近所様で、
アンティーク商品などを取り扱う雑貨店のオーナー様です

今回のヒマラヤは
お店の商品として仕入れたものをご依頼いただきました。
そして納品後、
見事新しいオーナー様の元に嫁いでいったとのこと

またどこかの街角で再会できたらいいなぁ・・・

などと勝手に妄想が膨らむひねりてです

2016年11月19日
エルメス,ヴィンテージトートバック「ヒマラヤ」を思い切り修理しました!(その2)
今日は前回からの続きです

まずは作業内容の見積を出させていただき
予想されるリスク、仕上がりイメージ、作業方法等の詳細を
持ち主様にお伝えして、すべてご理解いただいたうえで
このご依頼を受けさせていただくことになりました

劣化状況からすると、リスクの高い

かなりの大仕事ですが・・・

ここまで来たら腹をくくるしかありませんよね

心して取り掛からせていただきましたよ



では作業内容をご紹介しましょう

こちらの商品、
革の劣化以外にも全体的に埃っぽく
汚れや黄ばみが出てきていたため
まずひねりてで分解して

交換予定のベージュの革パーツを取り外した状態で
一旦お客様に返却し
ご自身で馴染みのクリーニング店に依頼して

生地部分のクリーニングをしたあと
再度ひねりてに持ち込んでいただきました

これは最初のご依頼時から
お客様がご自身でクリーニングに出すと
希望されていたことなので
こういった段取りになりました。
お客様のご要望によっては
ひねりてがクリーニング店への依頼等の代行も行っております

クリーニング店から戻ってきた時の状態はこんな感じです

生地の黄ばみはなくなり、全体的に白くきれいになっています

大掛かりにパーツ交換する修理だったからこそ、できるお手入れですね

これが分解していない状態だったら
劣化の状況から考えて、
この鞄のクリーニングを受けてくれるお店を探すのは
難しいかと思います

最初に取り掛かったのは持ち手です。
かなり頑丈に持ち易く作られているだけに
同じように復元するのは大変そうなパーツです

元のパーツからサイズの割り出しもするため、
その構造や組み立て方を考えながら
慎重に分解していきましたよ

縫製はすべて手縫いで仕上げてあり、
中には半丸の芯が上下に、
その間には少し中央が盛り上がった平芯が配置してあり
合計5つのパーツで作り上げられていました
予想通り凝った構造です

中の半丸の芯はまだしっかりとして、粘りもある状態でしたので

そのまま使うことにしましたが
間の平芯は一番負荷のかかる
カンに取り付ける部分が弱ってきていたため

新たに作り直すことにしました

ただ、これが結構微妙なサイズ配分で作られてまして
形も厚みも全体に丸みを帯びており

直線でスパッといかないという点で、
なかなか手のかかる子でしたぁ





とりあえずサイズ配分や
組み立て方を確かめるために、こんな感じで試作をしてみました

革はB品ではありますが、
本番と同じようにヌメ革を使用して、
厚みや張り感が同じ状態で仕上がり具合を確認し

すべてのパーツの長さ、幅、厚み、漉加減などのベストサイズを決め
ベストな組み立て方も決めて本番に挑み
四苦八苦しながらも何とか仕上げました!!



と、今日はここまでです

仕上がり具合は次回に詳しくご紹介しますね

どうぞお楽しみに
